御深井焼三島手塩笥茶碗

茶碗

深井製

御深井焼の塩笥茶碗です。

高台内に「深井製」の印が捺されています。この印のあるものは、江戸後期、尾張藩からの命を受け、瀬戸で焼かれた焼き物・・・と考えられます。

尾張藩では、ある時期から「所蔵の名品の写し」を積極的に作らせており、三島手の作品もその一つ。

三島手

こちらの茶碗は本歌(写しのベースとなったもの)があるのかは不明です。

古い伝来のある高麗三島手の茶碗の多くは筒茶碗。これは塩笥茶碗なので商品名には、「写」という表現は避けました。

尾張徳川家には有名な高麗三島手の茶碗・「三島桶」が伝来しており、これの写しを作らせた過程で、瀬戸でも「三島手」の技術が確立されたと考えられます。

そしてこちらの茶碗は、そういった「三島手」の技術をベースとして、オリジナルで制作されたものかと思います。

三島手というのは、高麗茶碗の一種で、鉄分の多い素地に線彫や印花などで模様を施し、白泥を掛けて窪んだ部分に象嵌したのち、透明釉をかけて焼いたものです。

塩笥茶碗

高さ・約8cm、口径・約8.5cm

ちょっと小さめの可愛らしい塩笥の茶碗。

腰が膨らみ、胴部から口に向かってすぼまり、口が少し開き気味のこのカタチを塩笥(しおげ)と呼びます。

もともとは朝鮮で調味料を入れておく壷だったものが、日本に伝来した際に茶入や茶碗に見立てられ、「塩笥」と呼ばれたものです。

口に向かって抱え込む独特のフォルムは熱を逃がしにくく、手の中でぬくもりを堪能できるのが最大の特徴。

寒くなるこれからの時期にピッタリのお茶碗です。

窓の文字は?

「道」 「還」 「循」

最初、「循」が「猪」に見えて・・・「お、ちょうど来年イノシシだし、11月で炉開きだし、ピッタリじゃん」と思ってたのですが・・・どうも違う。

「循」は「したがう、めぐる」という意味が含まれます。

そして「還」は「循環」の熟語で覚えてると、どうもそっちにひっぱられてしまいがちですが・・・恐らくこれは「還」のはず。

「環」は「ぐるぐる回ること、輪の形のこと」を意味しますが、「還」は「元に戻ってくる」という意味を含みます。

還暦とかと同じ意味でしょう。

ただ…いろいろ調べていて、この文字をどう解釈するかは、あえて答えを見つけないほうが面白いように思えてきました。

禅僧の墨跡で「円相」というものがあります。(「円窓」とも言います)

円というのは、どこまでいっても途切れない。ずーと巡り巡るもの。欠けることの無い真理を表すとされます。

これを筆で書くとき、文字の形に囚われていると、この円相は書けません。

「道」 「還(環?)」 「循」

これらの文字も「円窓」の中に書かれています…。

なんだか「文字に囚われ、本質を見失うなよ」という戒めを受けた気がします。

どう理解するか、楽しみ方はいろいろあるかもしれませんね。

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