『祖母懐』って何だ?(補遺)

ちょいと付けたし。

「補遺編」です。まあ、いうほど大した情報じゃないのですが…。

陶器全集「日本陶窯史・瀬戸系統編」の中に、この祖母懐土ついての記述がまとめられていたので、ここを見ておくと面白いです。

ところどころに具体的な名前が出てきてきますねー。雨池洞といふ所にて此土を得」とか「良土を発見せる祖母懐の地は、字一里塚なる雨池畔の南東の丘に在り」とか。ちなみに現在の「祖母懐町」に隣接するのが「一里塚町」です。

瀬戸市公式のオンライン百科事典「瀬戸pedia」には「祖母懐町」についての項目もあり、そこには「実際土の採れたとされる所は、現在春雨町と名付けられている。」と記されています。

同じく「春雨町」の項目を見ると「もとは瀬戸の一部で、明治期の瀬戸村大字瀬戸字一里塚の一部。町名は、雨池が当地にあり、春雨が池に降るところを祖母壊春雨と歌われたことによる。」とあります…。

なるほど、ここで過去の文献とリンクしてきますね。大体この辺にあったんですねー、祖母懐土。

行ってみたくなるけど…

今は大変便利なGoogleのさまざまな地図サービス(Map、Earth)があるので、現地に赴かなくともネット上でひとっとび…。

いや、すごい世の中になりましたね、まったく。

衛星写真を見ればもう、一目瞭然ですね。明らかに森林が広がっています。

で、これをもっと分かりやすくするのが国土地理院で公開している「赤色立体地図」です。

利用規約では出典元を明かせば利用OK、とのことなので遠慮なくデータを引用させてもらいます。

この赤色立体地図は、赤い色が「斜面」を表しており、この赤色の濃さ「斜度」が感覚的に分かるようになっている、すごい優れもの…。

このように、春雨町の森林は山の斜面に出来ていることが良ーくわかりますね。

「姥が懐」の「うば(姥・祖母)」は崖に関する地名である、という事が何となく説得力を帯びてきますね。

この一帯は川も流れていますし、斜面を流れる水によって土が削り取られ、「(良質な粘土の)地層がたまたま露出していた」という想像は、遠からず当たっている気がします。しかもストリートビューでこの辺を散歩していると、「土石流・注意!」の看板を見かけます。『雨が降ると池ができる』というのは、今でも同じことなのでしょうね…。

さてここで…この記事を見て「よーし、現地で土を探しに行ってみようじゃないか!」と、思いつく人に重大な忠告です…。

この林、実は愛知県の県有林です。

許可なく立ち入ったり、土を掘り返したりするのはやめましょう。罪に問われても当店は一切責任を負いません。

愛知県の正式な調査を待ちましょうねー(するのか知らんけど…)

談話もいろいろ気になるよね。

話は戻って、陶器全集「日本陶窯史・瀬戸系統編」の記載。

土の具体的な様子も一部書かれているのが興味深いですよね。

「其土色は黝(あおぐろい)灰色」

「木節と異にして、寧ろ朱泥に近き粘土なるが、生マの時は青色にして、之を焼けば赤変す」

「更に強焼すれば自ら紫褐色に傾く」

「両様ありて、即ち青脂気のものと、赤味のものとの差違あり」

漠然と僕は「赤紫っぽい土」と思っていましたが、焼く前はまた様子が違っていたのでしょうね。

この辺の事もいろんな情報を集めて一統したいですねぇ…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


日々色々

次の記事

軸足チェンジ