瀬戸染付麦藁手蓋物碗
瀬戸染付
麦藁手蓋物碗 10客
瀬戸染付の蓋物碗です。時代は明治~大正にかけて、作者は不明です。
青い線(呉須)と(茶色い線(鉄)を使い分け、非常にシンプルなデザインの中にも変化をつけて、見る人を楽しませてくれる器です。
蓋物は「中に何が入っているんだ?」という期待感を演出し、さらに蓋があることで「料理の調湿・調温効果」「香を閉じ込める」という利点があり、そして蓋を開けた時に視覚・触覚・嗅覚を同時に楽しませるという、食のエンターテイメントをこれ1つで演出できるという優れものなのですが…。
なかなか昨今、「蓋物」を使う機会が減っているように思われますが、いかがでしょう?
これも「生活様式が変わり、使われなくなったモノ」の一つかもしれません…家庭の中では、使っている光景がなかなか想像しにくくなってきました。
まあ元来、こういったタイプの器は料理屋さんで使われることの方が多いものなのですけどね。
やはり「御膳で提供する料理に使う器」としてのイメージは強いですよね。
麦藁手
実はかなり人気のデザイン。
器に対して、縦の線をザックリと等間隔で引いたこの模様は、瀬戸の焼き物の伝統的な「麦藁手」と呼ばれるものです。
瀬戸ではよく陶器で、「赤楽」という朱色の発色をする土を用いて、この麦藁手の器が作られますが、こちらは磁器。
染付で用いる基本的な呉須絵に、鉄絵を組み合わせることで、単調な縞模様が、かくも楽しげに見えてしまう…。
柄と色使いの妙味ですね。
使い方の工夫
「御膳で出す」イメージが非常に強くあるため、そもそも御膳を使わないケースだと想像の外で、見向きもされなくなってしまうのは忍びない…。
ということで、当店なりに使い方をご提案…。
何もない状態(1枚目)で使うと…やはり違和感がありますかね。
「木地溜塗の茶托」のうえに乗せてみました(2枚目)。
木地のスプーンも添えられ、このセットの状態出てくるのが「御膳」に近しい印象があります。元が茶托として作られているので、乗せやすいように1段溝があり、高台の付いた蓋物碗との相性が良く、非常に「収まりが良い」ので、安心感もあります。ただし、直径のバランスがやや合わず…この場合は茶托の直径を越えているので、アンバランスかもしれません。
そこで次は「木地溜塗の銘々皿」に乗せてみました(3枚目)
こちらは真っ平らな「皿」ですので、茶托に比べると安定感は劣りますが、見た目のバランスは改善された気もします。
ご留意ください
元は料理屋さんで使われていたものでしょう。10人分のセットになっております。
傷や直しはありませんが、10個の内いくつかに欠点があります。
窯の中で振りモノや重ね焼きした際に「くっついたモノを取り除いた痕跡」である、「引っ付き」。焼成の際に窯の中で器肌の一部に煙が混入してしまった「ケムリ」。釉薬がキレイにかからず、一部途切れてしまったり凸凹になってしまった「釉きれ」。土成形の段階で生じたキズがそのままになっている「窯キズ・山キズ」。
そして製作段階で歪み、やや楕円になっているため、蓋と身の合わせが良くないものが1点。
これらは生産当初からあるもので、使用による損傷とは別のものになります。
恐らく当時の量産品ですので、あまり気合が入っていないといえばそれまでですが…これはこれで「規格化された製品にはない『味』」とも言えます。
備考
- 直径(身):約13cm
- 高さ(蓋含む):約7.5cm
- 個数:10人分(蓋・身ともに)
- 茶托・銘々皿・木地スプーンは付属品ではございません