瀬戸染付 祥瑞写茶器
瀬戸染付
祥瑞写茶器
茶の湯で用いる「棗」の形をそっくり模しており、合口の立ち上がりの部分も非常に薄く作られ、蓋を閉じたときの模様もビシッと合うように作られています。
蓋の角部分に山切れ(焼成時の温度変化などによって入ってしまったヒビ)がぐるっと回っているのが、一つ難点です。胎土までヒビは入っておらず、実用上の問題はないものの、美観を損ねているのが少し残念ですね。(遠めに見れば、絵付けの線と重なってわかりにくいのですが)
実際の点前では用いるものではなく、替茶器として棚に飾るとカッコイイのではないでしょうか。
祥瑞写
祥瑞とは、染付磁器の中でも独特な意匠のものを指す言葉。
呉須による絵付が、中国古来の染付磁器には見られないデザインの特徴(幾何学模様・細密な絵付け)から、「日本の茶人の注文によって焼かれたものではないか」と考えらています。
こちらの作品はこの祥瑞様式を写してつくられたものです。
捻子紋
その祥瑞の中でもデザインは様々あるのですが、こちらは「捻文」と呼ばれる模様です。
幾何学文様と草花が交互に描かれ、これらを区切る枠が捻ったようになっていることから、このように呼ばれます。
四君子
描かれている草花は「四君子」。菊・笹・蘭・梅の4つの組み合わせのことを四君子といいます。
文人画が流行った瀬戸染付ではよく用いられる画題です。