豊楽焼 雲華灰器

※ブログ・勉強部屋「郷土の焼き物-豊楽焼・三代、四代」よりピックアップ、加筆修正版

雲華ってナニ?

雲華焼とは、焼成時にあえてコゲやムラが出るように焼いて、独特の模様を出す技法が用いられた器の総称です。

釉薬は掛けず、炭化焼成後に磨いて仕上げることで、つるりとした独特の手触りも特徴。このコゲむらの景色があたかも器に雲がかかった様であることから、「雲華」という名前があります。

これは豊楽独自の技法というわけではなく、京都や奈良の土風炉師も、この手の雲華焼の器・茶道具を製作しています。

灰器ってナニ?

灰器とは、茶の湯で用いる道具の一つ。炭点前(お湯を沸かす炉・風炉に炭を入れる点前)の際、灰を入れて、運び出すのに用いる器です。

炉のときは「湿し灰(濡れ灰)」と呼ばれる、水気を含んだ灰を用いるため、釉薬の掛かっていない素焼きの器を用います。

この灰器は径が小さめですが深さがある分、たっぷりと灰を入れられます。それでいて小間などの狭い空間で小回りの利く寸法。器の内部にも外側にも、雲華焼独特の景色があります。

素焼きの名人

底部分に「豊楽」の丸印があり、これは三代豊介、四代豊助がともに使用している印です。「楽」の字がくずれた草書体となっており、カタカナの「ホ」の字のように見えるのが特徴です。

さらに共箱が沿っており、「豊介」の署名の筆跡から、箱は三代豊介によるものだと分かります。

三代豊介、四代豊助については勉強部屋でご紹介しています。

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