矢場町を歩こう・その5

そろそろお家に戻りますねー。

寺町の名残

さて現在の矢場町交差点まで戻ってきました。あの存在意義が不明な橋から振り返るとそこは…。

中京銀行・本店営業部です。

昭和44年(1969)に中区門前町にあった本店をここに新築・移転してきました。

古地図を見てみると、ここもまたデカい敷地が若宮大通によって、ぶった切られております。

慈雲庵

政秀寺の東に「慈雲庵」という庵があったようです。これも「尾張誌」に記述があります。

前津矢場町にありて白林寺代々の隠居所なり。尾陽雑記に 白林寺・喝堂和尚、退隠し小林村に庵を結ぶ、慈雲庵と号す と見えたり

政秀寺や白林寺の敷地までは及ばないものの、なかなか、ちょっとした広さですよね。

「よっぽど藩に功績のある人なのかな~?」と思って調べてみたら…白林寺・喝堂和尚とは、源敬公廟(尾張徳川家・初代徳川義直のお墓)がある定光寺を妙心寺派の寺院として再興した、偉い僧侶なんですね。(納得)

明治になって早々に寺領をお隣の勝鬘寺に合併されているところから、江戸の後期にはすでに使われなくなって廃れていたのでしょうか…。「庵があった場所」にしては広い敷地ですし、茶室に付随する茶庭があったのかな…詳細はよくわかっていません。

んー、もうちょっと、この慈雲庵は調べてみたいなあ…と僕のセンサーが反応しております。

勝鬘寺

難しい漢字ですね。「しょうまんじ」と読みます。ここは江戸時代から場所が変わっていない古いお寺。

ここのお寺には梵鐘があり、パルコ南館ができる以前(20年以上昔?)、僕はここの除夜鐘を突きに行ったことがありますよ。(今でも大晦日にゴーン、ゴーンと聞こえてきます)

…サラっと出てきましたが、この門の前を通る道路を挟んで、反対側に「パルコ南館」があるんですよ…?!

改めて見ると、すごい対比じゃないっすか?

僕の言う「大津通より東側は地元じゃない、別世界」っていう感覚、分かりますかね?(笑)

白林寺

寺町シリーズの最後は白林寺さん。「とにかくいろいろお世話になっております」

古地図を見ればお判りいただけると思います。前田壽仙堂ももとは白林寺の境界内です。

ここは尾張藩の付家老・成瀬正成の菩提を弔うため、徳川義直に命じられて建立されたお寺です。代々の成瀬家の菩提寺ともなっていますが、お墓は現在、平和公園へ移されているのでここにはありません。

矢場公園

白林寺の門を北に行くと、巨大なナディアパークがそびえ立ちます。

その手前に見えるのが矢場公園。ここもマルっと元・白林寺なんですよー。すごい広いです。

最近、工事が行われて、土むき出しだった中央のスペースが舗装されました。

いやー、もう見る影もないレベルで変わり果ててしまいましたね。まったくツマラン所になったなー、矢場公園は(毒)

僕がガキのころはもうちょっと「風情のある公園」だったのです。

「遊ぶ」と言えば矢場公園、それぐらいのホームグランドでした。

たしかこの辺に「藤棚」があって、それをゴールポストに見立ててサッカーやったり、警泥(泥警?)の檻として活用したり…。いわゆる「普通の公園」でした。

一応、申し訳程度に遊具は今でもありますけどね。そうじゃないんだよなぁ…何て言えばいいのか、難しい。「こうやって安全に遊べ、ガキども」っていう遊びほど、ガキたちにとってツマランものはないでしょう。

実はこの公園、地下駐車場を備えた近代的な公園でして…「地上公園と地下駐車場」で潜み、駆け回る「隠れ鬼」は、それはもうスリリングで楽しかった…。(警備員に滅茶苦茶ど叱られましたが)

新しくなった矢場公園では、遊具は端の方に追いやられ、障害物は一切なく、隠れるところなんてありゃしない…。今ではすっかり「イベント会場用のスペース」としか、考えられていないようです。よさこいサークルのイベントとかね、コスプレの撮影会場とかね…。今回の舗装工事も、「下が土だと雨が降った時にドロドロになるから」とか、イベント会場としての利便性を上げるためのものでしょう。

まあハッキリ言って地元民としては愛着ゼロです。僕の知ってる思い出の矢場公園は悲しいかな、もうありません…。

「公園は子供のためダケにあるものではない」という事例の最たるものですね…。

矢場町散歩、おしまい!

ぐるっと回って、前田壽仙堂に帰ってきました。所要時間、20分。

なんか僕の思い出とかも挟みつつ、話の半分は「地元Dis」という、僕の暗黒面が漏れ出てしまいましたが…。

いかがでしたでしょうか。

何気なく普段の生活で見ている街並みも、「いろんな事を知れば、見え方が違って面白い!」ということを体験していただけたでしょうか。

これは街だけじゃなく、何にでもいえることなんです。

知ってから「見る」のと、知らずに「見る」のでは大きく見え方が変わるのです。

もちろん「知らずに見る」ことも大事なのですが…。

何も知らないままより、「ちょっとは知っておくと楽しくなれること」って、たくさんあると思うのです。

またこういう「楽しい」をもっと探していきたいと思います。

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