前田壽仙堂

郷土の焼き物-豊楽焼・五代、六代

ちょっと11月は忙しくなりそうなんで、急ぎ仕上げました。しばらく更新が滞るかもしれません。(> <;)

※一部コンテンツを商品紹介ページへ抜粋・加筆修正(12/18)

四代・豊助の歿後

ちょっとおさらいになりますが、四代・豊助は安政5年(1857)、46歳の若さで亡くなっています。このとき、息子・徳三郎はわずか10さい。後を継ぐにはあまりに幼すぎる、ということで養子を取ることになったようです。

五代・豊助の生年は不詳ですが、五代作と思われる木具写菓子器の銘に「八十五翁」と記したものがあり、また「一楽會誌二」によると、享年は不明ながら歿したのは明治18年(1885)とわかっています。

仮にこの85歳まで生きたとして、明治18年に亡くなったことを踏まえ、生まれ年を逆算すると五代・豊助は四代・豊助よりも年長ということになります。文献などによって、五代の出自は明らかになっていませんが、三代・豊介の子ということも考えにくく(子供だとしても、年下の豊助が四代を継いでいるのが不可解です)、恐らく豊楽焼に従事していた陶工の一人であったのではないかと思われます。

木具写の反響

四代・豊助がもたらした「木具写」、かなりの反響があったようで、五代も木具写の作品を制作しています。一つの特徴として、四代のころの木具写よりもプレミアム感のある木具写といった感じでしょうか。

蒔絵の仕事は外注だったとはいえ、豊楽の看板をしょっている木具写。当然、意匠(デザイン)の指示もしていたことでしょう。四代のころはシンプルに器面に漆を塗り、金蒔絵でサラッとした草花が描かれているのに対し、五代の作品は名物裂文、波千鳥などの凝ったデザインが施されています。五代以降は金蒔絵だけでなく、様々な色漆を用いたデザインのものもあります。

また施釉・鉄絵の技術が進歩しており、くっきりと黒い鉄絵の発色は後の脇窯である弟子・慶助の存在が大きいという指摘もあります。

また本来の「木具」だけにとどまらず、水指、水次など、もともと陶器である形の器にまで、木具写の要領で漆塗り・蒔絵が施されたり、さらには銅製の花器である「薄端」までも、木具写の技法で製作されています。

次の時代を見据えた六代・豊助

明治維新を向かえ、豊楽焼も次の時代を見据えた新たな舵取りをしていくことになります。尾張藩の御用焼物師という大きな後ろ盾を失い、危機感を持っていたのが徳三郎こと、六代・豊助です。

明治9年、皇室からの御用を蒙り、菓子器・置物などを謹製して収めています。この前後から、豊楽焼は国内外の博覧会に豊楽焼を多数出品するようになります。陶器生産者として、豊楽焼の名を広く一般の人たちにも知ってもらい、経営を盛りたてようとする姿勢が、博覧会への積極的な参加を促したものだと思われます。

明治12年にはパリ万博にも出品しています。このことが契機となったのか、製品の輸出も行われていたようです。但し明治30年ごろには、旧来の茶陶を生産する体制に戻している模様。一方、国内では「愛知県地理誌 上」という教科書の中で、愛知県の特産品として名古屋扇、七宝焼と並んで「豊楽焼」が挙げられるまでになっていました。

陶工の名跡「豊楽」から、陶器生産業「豊楽焼」への転換期ともいえるかもしれませんね。博覧会に多数出品したり、一時的にでも輸出を画策したというのは、多数の職人を抱え、規模が大きくなっていることの証だと思われます。

より新しく、他にないモノを

豊楽焼の代名詞・木具写はより新しく、他にないモノを求めて、進化していきます。すでに五代のころから、「木具」にという枠組みにとらわれず、様々な形の製品が作られていましたが、六代・豊助は博覧会で目を引くよう、斬新で形の面白いモノを木具写で作っていたようです。

茶壺ももともとは「木具」ではないものの、この木具写の技法を発展させて作った六代の作品があります。器の外側すべてを漆で塗るのではなく、一部に釉薬と鉄絵を残し、他の部分を漆で塗って、蒔絵を施すことで、釉薬の掛かった部分が窓のように見えるという、非常に手の込んだ作品。

さらに特殊なのは、「菓子箪笥」と呼ばれる、恐らく博覧会に出品されたもの。外枠と扉は木製で、扉を開けると「陶製の引出」が出てくる。枠の木の部分には陶板が埋め込まれ、陶製の引き出しの前面には色絵で草花が描かれています。なんといいますか、明治期特有の「やりすぎ、JAPAN」の香りが漂います。

ただこうした変わったものは恐らく博覧会用としての一点物で、重箱や蓋物など、実用的な従来の木具写も作っています。それに平行して茶陶も生産しているようで、楽焼の技術はかなり向上し、朱薬などの多彩な展開を見せています。

六代の朱薬楽茶碗

商品紹介ページにて、六代豊助作の朱薬楽茶碗をご紹介しています。

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