尾張藩の茶道-武家茶道

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前回、尾張藩ではお抱えの茶道の専門家たちを「御茶道」として組織した、というお話をしました。この専門家たちはどんな人たちだったのか、時代の流れにあわせてみていきます。

初期の尾張藩の「茶道」

まず名古屋城の築城に際し、もと清須城にあった有名な「猿面茶室」が移築されていることもあり、御茶道を組織する以前から、すでに茶の湯に精通した人間が、何からの形で尾張藩に召抱えられていると考えられます。(まだ義直はお子ちゃま、ですしね)

その中に武野紹鴎の孫である武野仲定がいます。この人ははじめ織田有楽斎に仕えていましたが、後に尾張藩に召抱えられ、400石の知行を与えられています。何の名目で仕えたのか、不明なのですが・・・その出自から、「茶道の専門家」として見られているようです。(個人的には「ホント?」と、懐疑的なんですが・・・)

また、2代藩主・光友一尾伊織について茶道を学んでいるようです。一尾伊織とは、細川三斎に茶を学んだ人で、後に一派を立て「一尾流」と呼ばれたそうです。この人自身は江戸に住し、幕府に仕えた人と伝わっているのですが・・・。この一尾伊織の弟である玉置雪江は尾張藩に仕え、藩主・光友の命によって茶書を撰述(兄もこれに協力)、玉置家の秘蔵書となったといわれています。

・・・なんだか、ふわふわした掴みどころの無い情報が続きましたが、まあ「有楽流の当主」が書いてるもんですし、やむを得ないかと。次からはしっかりとしておりますヨ。

有楽流の茶

『咄覚集』によると、江戸において、織田貞置が光友に茶を進め、また綱誠(3代藩主)に茶の指導を行って「貞置おしへは至極」といわれたと伝えています。

そもそも咄覚集とは、なにか。この織田貞置に茶の湯を学んだ松本見休という人が、師である貞置から学んだこと、また貞置に関する出来事を書きとめた茶書です。貞置も見休も江戸の人間であり、尾張藩の中の話ではないものの、藩主は江戸で織田貞置から茶の湯の教えを受けているのです。

では「貞置」とは、どういう人物かさかのぼってみると・・・父・信貞は信長の九男。本能寺の変の後、豊臣方に仕えたが後に徳川方に赦され、以降は幕府に仕えた人です。そして貞置自身は同じ織田家筋で有楽流の茶を学んでいた、織田長好(道八の子)から茶の湯の奥義を学んでおり、江戸藩邸内には「貞置流」を称する士もいたそうです。また、『編年大略』によると、この貞置の子、貞幹も父より有楽流を学んで奥義に達し、「官内」「周防守」と称して、尾張藩に元禄年間まで仕えていたようです。

「貞置流」と言っていますが、有楽流の別名といってもいいでしょうね。

その当時、たくさんの門人を抱えた優れた師の名を冠して「○○流」と呼ばれるのは、貞置に限らず他にもある話です。誰に習ってるかを分かりやすく示すため、「拙者、茶道は○○流でござる」という表現につながるんではないかと・・・。

織部流の茶

一方、蓬左文庫所蔵本「藩士名寄」の中に「山本道伝」という人の名前が見えます。この藩士名寄とは、尾張藩に仕えた人の「履歴書」のようなもんです。正保14年(1647)以降から、「御茶道頭」という名目で列しています。この辺から本格的に組織として動き始めているのでしょうか。

古田織部の門人より茶を学んだ「山本道句(旬?勺?)」の子が道伝といい、この道伝も織部の流れを汲む茶法を父より学び、その知識をかわれて尾張藩に仕えていたと考えられます。この山本道伝の家系は代々続き、御茶道頭として尾張藩に代々仕えることになります。

やはり「御三家」として、幕府にきちっと倣う立場はブレないようですね(あくまで最初のころは、ね・・・)。御茶道頭に織部流の茶を学んだ士が登用されているのも、二代将軍秀忠の茶道指南役に古田織部が起用されたことが、少なからず関係しているのでしょう。

どっち道、武家茶道でござる

最初から有楽流だったわけでもなく、様々な流派が混在していた・・・というよりも、このころはまだ「茶道流派」という明確な分別はなされていなかった、と考えるべきでしょう。ともかく、有楽も織部も出自は「武士」であり、ここに一つのポイントがあるような気がします。やはり武家茶道を重要視していたのでしょうか。(千家の「せ」の字も出てきませんね~)

しかし時代が下がってくると、尾張藩士の中にも千家茶道を嗜む武士が出現します。

これは名古屋の町方にも千家茶道が浸透し始め、千家流の茶人が出現し、その影響を受けてのことと考えられます。武士といっても、上から下までかなりの数がいますし、町方の人間と一切かかわりを持たない、影響を受けないというのも考えにくいです。それを受けてなのか、いくつか尾張藩にとってのターニングポイントとなる出来事が起きます。

続きは次回。

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