不二見焼手付籠菓子器
陶器で編み物?(次世代編)
不二見焼の三世・不二山人をこちらでご紹介しましたが、こちらは四世・不二山人の作品です。
四世(四郎)は二世(亮吉)の次男です。明治42年ごろ、乾式成形による硬質陶器タイルの生産に成功し、不二見焼合資会社を設立。工場を移転するなど産業製陶としての事業を拡大、海外へのタイルの輸出なども手がけるようになりました。父・亮吉のもと、事業に携わり、その余暇に様々な器を製作しました。
後に、不二見焼は「不二見タイル」というタイルメーカーとして、産業タイルの生産にシフトしていきます。産業としての陶工から、趣味としての陶芸、という性質の変化が、この編み込み陶器を生み出したともいえるでしょう。
三世の作品と比べてみても、より手の込んだ作品が四世の特徴です。縒った土の紐の太さを微妙に調節し、竹籠の要領で編みこみ、見事な器を制作しています。
網目の隙間から内外が透けて見えるのが、この手の器の面白さです。「籠かと思えば、実は陶器でした」という意外性・遊び心も面白いですね。
「菓子器」となっていますが、やや小振りです。この大きさだと3人分のお菓子でいっぱいでしょうか。