名美アートフェア2021【ブース詳細】

名美アートフェア2021、前田壽仙堂ブースの詳細です。

当店では毎年、郷土美術を広く皆様に親しんでいただけるよう、様々な趣向と切り口で、テーマ展示を行っております。

昨年は中止となってしまいましたが、その時用に考えていたテーマをそのままスライドして今年は行います。

その名も…

尾張国焼香合番付

見立番付とは、何だ?

日本国民は…いや…もはや「人は」と、括ってしまってもいいかもしれません。

人は「ランキング」が大好きな生き物です。

何故でしょうねぇ?

序列をつけるのが好きなのです。

「今日の運勢」ですら、ランキングで紹介するのですよ…。個人的にアレは「どうかしてる」としか思えない下らなさだと思っているのですが…「そんな事まで序列を気にして、どうするの?」って事までランキングにしてしまう…。

もはや、序列の「良し悪し」ではないのです。「何が上位で、何が下位か?」ということの、正確性は誰も求めちゃいないのです。アド街ック天国を思い出してください。その最たる例です。

物事の楽しみ方としての、一つの「形式」「フォーマット」がランキングなのですね。

実は日本人は結構古くから、この「ランキング」で遊んできたのです…

江戸時代からあった「ランキング」

江戸中期から出版が盛んになり、さまざまな「刷り物」が作られるようになりました。

その中でも「相撲・歌舞伎・例祭」に関する情報をまとめた一枚の刷り物は、制作するのもお手軽で、広く大衆に知られるものとなります。中でも「相撲番付」は取り組みの相手を知る情報源であり、なおかつ「序列」が分かりやすくまとめられたもので、このフォーマットを「相撲以外」のモノ・事に当てはめて作った刷り物が江戸中期以降に大流行します。

これが「見立番付」と言われるものです。

この「見立番付」、とにかくありとあらゆるモノ事で作られます。「名所」「名物」は現代でも定番のランキングです。それ以外にも「武将」や「温泉」なんかも、テレビ番組などの企画じゃよくやる奴ですねー。さらには「漬物」や「良妻悪妻」なんて変わりダネまで…。当時の世相を表すものとして、研究材料にさえなっちゃう。

これは明治以降も作られるほど、世代を超えて、とにかく人々はこの「番付」というフォーマットで遊んできたのです。

型物香合番付

そして、この見立番付の変わりダネの一つに、安政二年(1855)に出版された、形物香合相撲番付表があります。

単に「茶道具」ではなく、「形物香合」という括りでやるのが、いいですね。東と西でざっくりジャンル分けがされているのも面白いです。

お茶道具の中でも、「香合」を語るときの取っ掛かりとしてよく話題に上がります。「この香合は西の二段目前頭18番目だ」とか。

まあ…別に「だから何だ」というレベルのものですけどね。遠州蔵帳、雲州蔵帳、〇〇家伝来とかとは、全く別の類です。そもそもどこの誰が作ったのか、正確に分かっていませんから。

「形物香合」ということは、「型で作った香合」ということで、オンリーワンのものではなく、ある程度数があるものであり、しかも「色違い」もありますし、後世に作られた写しもたくさんあります。

この序列に根拠があるわけではないのです。香合が戦いを繰り広げ、勝敗が付くわけではありません。前述したように「正確性は誰も求めちゃいない」のです(笑)

要はこの番付をたたき台に…

うーん…やっぱり、こっちの方が格上だろう!

この子、地味でも上位に食い込む、隠れた実力者なんだなぁ…

下位に甘んじているけど、いずれは関取として名を上げるぞ…

とかとか、楽しむことができちゃうわけです。香合番付に限らず、見立番付の面白さは多分、こういうところにあると思うのです。

この番付があることで、香合をより楽しめるわけです。個人的な感想ですが…「お茶席の中での香合」というのは、なんとなーく「孤独な存在」に感じます。茶席の一連の流れの中で、何かと比較したり、並びたてるものではないポジションにいます。

炭斗の中に仕組み、炭手前の時に使う際に、唯一お客から拝見を所望される道具です。特に炉の時は焼き物の香合を用います。炭道具の中で、唯一の焼き物。演出という面では、もっとも目立つのですが…それゆえに道具として「孤高」な感じがあります。

そんな香合を「もっと面白く見てもらおう」という、この番付を考えた人の視点はなかなか鋭いと思いますねー。

で、楽しそうなので僕も作ってみたくなりました。「形物」ではなく「尾張国焼」のくくりで…。

尾張国焼香合番付

本来だったら、昨年やる予定のテーマでした。

なぜかというと、ちょうど「令和二年」という年号が、本家香合番付の「安政二年」に呼応する形になるなぁーと思ったので…。

コロナで中止になっちゃったから、じゃあ次の「〇〇(元号)二年」まで、お蔵入り…させるのも、ね(笑)

このブログを隅々まで目を通している方ならご存じかと思いますが…僕はそこそこ凝り性でして…

そしてウチの親父は僕を上回る、筋金入りの凝り性でして…昨年の緊急事態宣言の間の休業期間中に、本物の番付を作ってしまいました。

アートフェアのブースではすべての香合が並ぶわけではありませんが…この「尾張国焼香合番付」は当日、アートフェアにご来場くださった方にも、後日店舗に来店された方にもご覧いただけます。ウェブでは公開いたしません。

本家香合番付では「交趾」や「染付」といった、焼き物のジャンル分けでしたが…尾張国焼香合番付では、ざっくりと「御庭焼」「民間の窯」「武士」「陶工」で分けられています。さらに言えば「型物」ではないので、ほぼオンリーワンです。東が「尾張藩御庭焼・藩士・茶人」の分類で、西が「民間(瀬戸・常滑)・陶工」となってます(厳密にこの限りではありませんが…)

「位置関係的に…瀬戸が東で、御深井下御庭が西じゃね?」と思いましたが、監修した父曰く「西と東なら、東の方が格上だ」とのこと。

総後見には、本家の香合番付に倣って「木地」の香合で、地元の古材系。そして行事には萬古焼の「型物香合写」が軍配を振り、世話人(頭取)はレジェンド級の茶人と、その他の木地の香合です。(ちょっとこの辺、まだ校正中で変更になるかも?)

というわけで、この番付表を見がてら、名古屋美術俱楽部へお越しください。

横綱香合も展示いたしますよ!

※名美アートフェア2021の日程はこちら

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