幻の茶入

選挙の日に台風がちょうどやってくるとのことで、期日前投票を区役所で済ませ、ついでに愛知県美術館も見てきました。

長沢芦雪展

県からレセプションのお誘いが来ていたので、「これはぜひ行かねば」と思っていたのですが、なにやらバタバタと忙しく…ようやく行けました。

カッコイイですねー。寅年生まれドラゴンズファンの僕は大興奮。圧倒的な無量寺の再現展示でした。

芦雪といえば、躍動感のある寅、丸っこくて愛らしい子犬、とぼけた蛙に、歌い踊るスズメたちといった、動物画がとくに有名ですが、個人的には晩年の朧月図や、月夜山水図に心揺さぶられましたね。この世ではない、なにか別世界に引き込まれるような、おどろおどろしくも、静かな世界観も素敵だなーと。

幻の茶入が見れますよ

特別展のあとは、常設展示も拝見。信じられないほど緻密な正木焼の蓋置とか、熱心に見ていたのは僕だけでした。(´Д`)

「なんだこれ、ふーん細かいね」ってな具合にさらっと通り過ぎていく人々…悲しいっす。これは蓋置というより、墨床として作られたものじゃないかなぁ…なんて見てました。

そして特に脈絡もなく、ずらーっと茶入が展示してあるとおもったら、つい最近訪れた慈光院に関連する茶入でした。

古瀬戸肩衝茶入 銘「八重垣」は片桐石州公の愛用の茶入として、石州流の人たちの間では「幻の茶入」と呼ばれていました。というのも、満田道志によるこの茶入の写しが慈光院に1つと、もう1つ、どちらも乾漆で造られたものが伝来しており、その存在自体は古くから知られていたものの、つい最近までその本歌の所在がわかっていなかったのです。

片桐家から出て、大正~昭和期の売立にも登場した後は行方がわからず。木村定三コレクションが愛知県に寄贈され、その中にこの茶入があり、所在が発覚した、ということなのです。

精巧な写しが作られるような道具、というだけで、この茶入が如何に大事にされてきたかがわかります。道具屋的な表現でいうところの、「ウルサイもん(たいそうな物の意)」なのですが…芦雪展と比べてものすごい閑散とした展示室。うーむ。

今回はこの「写し」も含めて、3つの茶入が同時に見られる、またとない機会。芦雪を見た後は、この茶入も見ておくといいですよー。

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