前田壽仙堂

八代豊助作 黒楽茶碗

春造・・・豊楽焼の最後の人

勉強部屋「郷土の焼き物-豊楽焼」でもご紹介しましたが、八代・豊助は豊楽焼の最後の人です。

兄である七代豊助が若くして亡くなり、父の六代豊助もその後を追うように亡くなってしまい、大変な時代を生きた人だと思います。残された作品を見ても、バリエーションは少なく、楽茶碗が中心です。

この茶碗は、非常に丁寧に、真面目に作っているなあ、という印象を受ける茶碗ですね。

しかし、それゆえに「面白さに欠ける」という批判はあるかもしれません。

(ウチの商品紹介コーナーなのに、こんなことを言っていいのか・・・)

やはり代の継承がイレギュラーだったんだろうか、八代も円熟期を迎える前に亡くなっちゃったから、しょうがないのかなぁ、などと色々な思いが浮かんできます。

使いやすい茶碗

せっかくの紹介コーナーなのに、なぜか腐し気味ですが…茶碗として、決して悪いものではないですよ!

どの部分を見ても、非常に丁寧に作られている、気を抜いている部分を感じさせない、とても完成度の高いものです。高台の削りは歴代の中でもかなりしっかりと作っているのではないでしょうか。

巴高台の削り方に注目すると、どこか父・六代豊助の茶碗と似通っている気がしなくもないですねー。

一見、特徴らしい特徴がなく、なんだかどこにでもありそうな、普通の楽茶碗ですが・・・。

ちゃんと次第が揃ってる八代作って言うほど、どこにでもある訳じゃ、ないですよ(笑)

高台脇には草書体「豊楽」の丸印、さらに年記銘(判子)のある共箱が沿っていて、なおかつ貴重な八代・豊楽の「陶歴」まで添ってる・・・豊楽の陶歴、これ以外は見たことがありません(僕調べ)。

勉強部屋で紹介してきた「豊楽の歴史」が、この陶歴の栞にも記載されています。箱に捺されている年号は「大正5年」。ちょうど、「一楽會」が精力的に活動しはじめるちょっと前ですねぇ…。

恐らく、他の窯でも「陶歴」のようなものを製品に添えることを始めており、それに倣って豊楽でもこういう栞を作ったのでしょう。この栞を元に一楽會が「一楽會誌」を編纂したのでしょうか。「一楽會誌 二」の豊楽焼の説明で、この栞の内容の矛盾点まで指摘しているのが面白い・・・。(一楽會という謎の組織については、いずれまた勉強部屋でやりましょう)