前田壽仙堂

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御深井焼水指 松藤瓢画

4/24追記

※こちらの商品はご成約済みです。恐れ入りますが、商品解説のみの掲載に変更いたしました。

御深井焼

御深井焼(おふけやき)といっても、一言では説明しつくせないので、いずれ近いうちに「勉強部屋」で取り上げます。

簡単に説明すると、こちらは「美濃で焼かれた御深井釉の焼き物」に分類される御深井焼です。俗に「美濃御深井」とか呼ばれていたりします。

美濃御深井の特徴である「摺絵」の技法が用いられ、特徴的な「耳」がついています。

松に藤と瓢箪

前後に「に絡みついた藤の花瓢箪の実」の絵が表されています。

同じ松をモチーフにしている「松竹梅」の吉祥紋とは、また違った趣のある吉祥紋。個人的に渋くてカッコイイ組み合わせだなぁと。

細かいところを見ていくと、中央に松葉があり、その周りに二種類の違う形の葉、さらに垂れ下がって咲いている花、それと小さな実が生っています

瓢箪はウリ科の植物。はマメ科の植物。「草」と「樹」の違いこそあれ、どちらも「つる性」によって成長するという特徴があります。

ウリ科の植物であれば、小学校の理科でヘチマを育てたことがある人は、瓢箪のイメージもしやすいでしょうが、実は藤も「他の大きな植物(or支えとなる何か)につるを伸ばして上へと登って成長していく」植物なのです。(藤棚はまさに藤を支えるためのもの)

松と藤の関係性

藤は品種による違いはありますが、大体4月下旬~5月頃、下に垂れ下がるように紫色の花を咲かせます。

古くは何かしらの木に巻きついて生えていることが普通だったのでしょう。実際は松以外にも絡みついていたのでしょうが、日本の古典文学には「藤」と「松」はセットで登場することが多いのです。

色合い深く花ぶさ長く咲きたる藤の松にかかりたる

「枕草子・84段・めでたきもの」

手にかくるものにしあらば藤の花 松よりまさる色を見ましや

「源氏物語・第四十四帖 竹河」

平安期は「藤原氏」の栄華を称える歌が多く作られ、その栄華の支えとなっていたのが「皇族=(松)」であり、この二つはセットであることが多いのです。

また「大きく立派な幹を持つ松に、藤がもたれかかって美しい花を咲かせる」という構図は、古くから日本では「男女の特質を捉えた喩えである」とも考えられています。

男女平等、ジェンダーフリーが社会の大きな関心事となっている現代では、「男とはこういうもので、女とはこういうものだ」という決め付けは、なんだか前時代的で今の感覚にはそぐわない気もしますが…。

一方で藤は「大変長生きする植物」としても知られ、日本各地に何百年の樹齢の藤があります。たくましい、タフな植物、というのはある意味「現代の女性」のイメージとも重なる部分も。

何の耳?

美濃御深井の器(水指や花器)などによく見られる、特徴的な耳。

実際に「形あるもの」を模った耳が多いのですが、こちらの耳も何かを模しているように感じます。

・・・結び目?かなぁ、なんて。「松と藤の関係性」を読み解き、それをベースにした僕なりの解釈です。

「力強く常に青々としている松」

「風になびく姿が美しい藤の花」

「これからたくさん実るであろう瓢箪の実」

これらの組み合わせは、なんだか一家の繁栄を連想させます。ゆえにその絆を表す「結び目」なのかな、と。ちょっと素敵に解釈しすぎでしょうか。

「これが正解」というわけでなく、いろいろ想像力を働かせるのも、道具の楽しさですよね。

あなたは何に見えますか?